だから・・・夜に学校に行っちゃだめだよ。


「これは、私が通っていた高校で起こった話です。

この学校は、古くから有名な私立高校で、国立大学にも毎年合格者を輩出していました。

古くからある学校の割には、怪談話がありませんでした、

4年前までは・・・

4年前ある女子生徒がいました。

その子は今時にしては珍しく、清楚な雰囲気で成績優秀、両親からも学校からも将来を期待されていました。

しかし彼女には、一つだけ誰にも言えない秘密がありました。

その年に新任でこの高校にやってきた副担任と付き合っていたのです。

そして、受験まであと少しという時、彼女と副担任が付き合っていることが学校に知られ、話は尾ひれがつき彼女をひどく傷つける内容で広まりました。

彼女は決まっていた推薦も取り消され、学校や両親からも叱責されました。

彼女は将来に絶望したのか、ある日姿を消しました。

はい、おしまい!」

と友達の怪談話が終わった。

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私は、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。

「ねえ、怪談話すの下手すぎでしょ。その女子生徒が消えた後って、一体どうなっちゃったの。先生のその後とか、女子高生はどこに消えたのとか。なんか、ふわっと終わっちゃったじゃない。」

友達は困った顔をしながら、
「そこは想像に任せようよ。調べたんだけど、ぜんぜんその後の話が出ないんだよね。」
と話す。

この話は私が通っている学校がモデルらしい。

実際に4年前にあったことだそうだ。

その後の話が出ない辺り、眉唾の話だと普通ならそう思う。

だけど、4年前からこの高校である決まりができた。

夜間、学校に残ってはいけない。

その決まりの徹底ぶりは、すさまじかったと聞く。

伝統で続いていた受験合宿も4年前を境に急に無くなったと聞いている。

こんな決まり作って、学校側が対応をしたら何かあったんだろうなと普通なら考える。

「だからさあ、今日の夜肝試ししない。」

「だからの意味が全く分からない。どうして唐突にそういう話になるの。」

「だって気になるじゃん。なんで夜に学校に行ったらいけないのか。だってほら私文系部だし」

「文芸部関係ないと思うよ。」

「ああ、もうあんたはいつもそう。もういい、一人で行くから。」

と友達はぷりぷりと怒った。私は適当に答えた。

「はいはい、感想よろしく、なんかいいの書けるといいね。」

でも私は後悔することになる。

次の日友人は学校に現れず、姿をくらました。

友人の失踪は、すぐさま学校の話で持ちきりになった。

彼女が夜肝試しすると言っていたのを、クラスメイトが何人も聞いていたからだ。

学校は急遽休校になった。

「お友達は肝試しすると言って、夜学校に行ったらしいというので合ってる。」

後日、家に警察の人が私に話を聞きに来た。

その人は不審そうな顔をして、「なんで、お友達止めなかったの。」

「本当に行くなんて思ってもなかったから。」

「でも君本当は友達が行くの分かってたんじゃないのか。」

「だって、本当に消えるなんておもわないじゃ、ないですか。私、今受験でいっぱいいっぱいなのに、あの子推薦通ったから余裕そうで、こっち必死なのにくだらない話をするから。一人で行けばいいじゃんって言っちゃったんです。」

私は、ぼろぼろと泣き崩れた。

「それで止めなかったと、まあそれで本当に行っちゃった友達が悪いんだが。」

じゃあ、なんで人の心の傷に塩塗ってくるんだこの人は。

「まあ確かに自分が必死で勉強しているときに、そんなことされたら苛つくわな。だけど、本当に大事な友達なら、注意もしてやるべきだ。そんな後悔するならな。」

この人は、随分若いのに大人だ。

周りの人は、私は悪くないというだけでこんなことを言ってくれなかった。

「あと、君ね。変なこと考えちゃだめだよ。」

この時、警官の人は悟っていたんだと思う。

私が今日の夜、学校に行くことを・・・

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「いや、注意しても全くいうこと聞かないのは、お友達と一緒だね、君。」

夜、校門の前で昼間の警官の人が立っていた。

「なんで、ここにいるんですか。」

「いや、俺勘がいいんだわ。なんか君今日の夜学校に行きそうだなって思って。さて、行くか。」

この人どうやら自分も一緒に行く気みたいだ。

なんてお人好しな大人なんだろう。そう思いながら、私は警官の人についていった。

「あのどこ向かってるんですか。」

「3年生の教室。」

おかしい、向かっている方向に3年生の教室なんてない。

なんだか、急に気味が悪くなってきた。

「そっちに3年生の教室ありませんよ。」

「受験合宿の教室は、こっちだったんだよ。俺、ここの卒業生だから。」

とあっさりこの人は暴露した。

本当に警察官かこの人。

そんなことを思いながら、だんだん寒気がしてきた。

気づいたらこの人は、ある教室の前で立ち止まった。

冷気はその教室から出ているようだ。

この人は躊躇いもなく、教室のドアを開けて入ってしまった。

私は取り残されるのが怖くてたまらず、一緒に教室に入ってしまった。

バンッ。

ドアはひとりでに閉められた。

やばい、これ本物だわ。

今までオカルトなんて全く信じなかったけど、これはマズいと直感した。

背筋がぞわりとなぞって、首に急に冷気を感じて息苦しくなる。

何かに首を絞められているみたいだ。

ただ絞めつけているものが全く見えず、意識が朦朧とした時だった。

「止めとけ、そこの嬢ちゃん巻き込むな。そんな性格じゃなかっただろ。」

と警官の人が言った。

急に首が解放され、私は床に転がった。

感じていた冷気が急に遠ざかった。

「先生...。やっと来てくれた。」

女の人の声が聞こえる。

とても寂しそうな声だった。

「なんで、先生学校辞めちゃったの。私達、何も悪いことしてないのに。卒業したら、正式に付き合おうって言ってたのに。」

ああ、やっぱり彼女は後ろ指さされるようなことはやっていなかったんだ。

「悪いな。まさか責任とって辞職したつもりが、こんなことになるなんて、なあ、どこにいるんだ。いくら探しても見つからないんだよ。」

彼女は、悲しげに俯いて下のほうを指した。そ

うかと警官は言って、私の方に振り向いた。

「嬢ちゃん悪い、最後に一つ頼みがある。こ、ことを、、、わ、、、いでくれ。」

その言葉を聞いて、私の意識はぷつりと切れた。

気付いたら、家のベッドで眠っていた。

昨日の夜どこか出かけたかと両親に聞いたらどこにも行ってないと言う。

そして、学校に行ってみると友人が何事もなかったように教室にいた。

友人の顔を見て、ひどく泣きたくなった。

そんな私を見て友人は、
「何、あんたどうしたの。何かあった。よし私が気分転換になる話をしてあげよっか。」

何かあったどころではない。

詳しく聞くと、友人は失踪したことを覚えていなかった。

またクラスメイトも友人が普通に学校に来ていたという。

私はその事を聞いた時、背筋がぞくりとした。

そして、怪談に関して友人に聞いてみると、

「怪談なんて興味なさそうなのによく知ってたね。私が気分転換に話してあげるつもりだったのに。」

私は、こう答えるしかなかった。
「とりあえず、怪談話して気分転換するって、ないから。普通。」

この時のことは、私のストレスだったのか、本当にあったのか分かりません。

でもこの話は伝えなきゃいけないんだなって思うんです。

これで私のお話はお終い。

え?結局二人はどうなったのって、野暮なこと聞きますね。

いいんですよ、分からないことがあったって。

ちなみに4年前の話は本当にあるようちの学校は。

だから・・・夜に学校に行っちゃだめだよ。

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