特定外来生物アカカミアリにご注意ください、毒を持つことから、人間にとって危険な昆虫です。
アカカミアリってどんな生き物?
アカカミアリはアリ科フタアシアリ科に属する体長3~8ミリのアリで、原産地は北米南部、中南米です。
人間の貿易活動の活発化に伴ってアジアやオセアニア、ヨーロッパなど世界各地に分布を広げており、日本では硫黄島や沖縄島で定着が確認されています。
米軍基地の近くに定着しているため、米軍の物資に紛れて入ってきたと考えられています。
また、2018年にはインドネシアから神戸港に運ばれたコンテナで発見されました。
アカカミアリは雑食性で、小型の節足動物などを捕食することにより移入先の自然環境に影響を与えます。
硫黄島においては在来のアリが駆逐されてしまっています。
カイガラムシが分泌する甘露も餌にしており、農業害虫であるカイガラムシをアカカミアリが守ることによる農業被害の恐れもあります。また、身を守るために毒針で激しく刺してきます。
このように様々な被害をもたらすアカカミアリは、2005年には特定外来生物に指定されました。
アカカミアリの見分け方
アカカミアリはその名の通り赤褐色の体を持ちます。
とは言え赤っぽいアリは他にも多くいるため、体色だけでアカカミアリだと判断することはできません。
赤いだけでアカカミアリと決めつけて駆除してしまっては、在来のアリまで殺してしまうことになりかねません。
昆虫の体は一般的に頭部、胸部、腹部に分かれており胸部に3対の歩脚を持ちます。
アリは胸部と腹部の間に「腹柄節」と呼ばれるコブを持ちますが、アカカミアリの場合は腹柄節が2つあります。
また、アリの仲間には胸部の後端に「前伸腹節刺」というトゲを持つものがいますが、アカカミアリはこのトゲを持ちません。
触角も重要なポイントで、アカカミアリは触角が10節に分かれています。触角の先端にある膨らんでいる部分を「こん棒部」と言いますが、アカカミアリはこの部分が2節です。
なお、これらの特徴は近縁種であるヒアリにも当てはまります。
逆に、体色が赤かったとしても、上記の特徴に当てはまらない部分がひとつでもあればそのアリはアカカミアリでもヒアリでもありません。
ちなみにヒアリはドーム状のアリ塚を作りますが、アカカミアリはアリ塚を作りません。
アカカミアリを見つけたらどうすればいい?
もしアカカミアリだと思われるアリを見つけ駆除する場合は、殺虫剤や熱湯を使うことが望ましいです。
刺される恐れがあるので素手で触らないようにしましょう。
ベイト剤は在来のアリをも殺してしまうため、外来種対策として安易に使うことは望ましくありません。
アカカミアリと思しきアリの発見時には、各都道府県の環境に関する部局、もしくは環境省が設置しているヒアリ相談ダイヤルに連絡しましょう。
駆除したアリの死骸を送ることで、本当にアカカミアリかどうかを専門家が同定します。死骸でも針が刺さることがあるため、素手ではなくピンセットや菜箸を使って蓋が閉まる小瓶に入れましょう。
万が一アカカミアリに刺されてしまったらどうすればいいのでしょうか。
アカカミアリはアルカロイド系の毒を持ち、刺されると激しく痛み腫れが生じます。
近縁のヒアリとは異なり、アカカミアリに刺されて死亡した例はありません。
とは言えアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、油断は禁物です。
20~30分安静にし、息苦しさやめまいなどのショック症状が出た時はすぐに医療機関を受診してください。
おわりに
特定外来生物アカカミアリは、毒を持つことから、人間にとって危険な昆虫です。
アカカミアリと思しきアリの発見時には、各都道府県の環境に関する部局、もしくは環境省が設置しているヒアリ相談ダイヤルに連絡しましょう。