みなさん「アンタレス」をご存じでしょうか。
赤く輝くアンタレス、今回はアンタレスの名前の由来や、短すぎる寿命、火星との関係、観測方法などについてご紹介します。
アンタレスとは
アンタレスはさそり座の巨大な夏を代表する一等星です。
太陽よりも数百倍大きい恒星のためメディアで取り上げられる機会も多く、知っている人も多いのではないでしょうか。
アンタレスは非常に明るく赤く美しい光を発する星で、人気の高い天体といえます。
アンタレスという名前は火星に似たものという意味がありますが、これは火星と同じ赤色をしていることから火星と間違われた事実に由来しています。
アンタレスはシリウスと同じように連星で、主星はアンタレスA、伴星はアンタレスBと呼ばれています。アンタレスBがアンタレスAを1周公転するには878年もかかるため、アンタレスの1年は地球での878年に相当することになります。
シリウスも太陽と同じ恒星のひとつで、地球から観測できる太陽系外の星の中でも、もっとも明るい天体です。このシリウスもアンタレスと同じ連星で、肉眼でも観測できるほど明るいため火花を散らすや焼き焦がすといった意味のギリシア後に由来しています。
非常に光度の大きな恒星のアンタレスは、太陽のおよそ1万倍の明るさにまで達し、太陽の6.5万倍の光エネルギーを放出しているということが判明しています。
アンタレスBはアンタレスAの370分の1程度の明るさしかありませんが、それでも太陽と比べると遙かに明るいといえます。
アンタレスが赤い理由
アンタレスは恒星としては比較的低温のため、色は赤に近いオレンジ色をしています。太陽はアンタレスよりも高温のため、黄色に近いオレンジ色をしていますし、さらに温度が上昇するとシリウスのように青色の炎をあげるようになります。
アンタレスAに比べアンタレスBは高温であるため、青白い光を発していると考えられています。
太陽の寿命は150億年といわれていますが、大型の恒星であるアンタレスの寿命は決して長くはなく、1000~2000万年程度と考えられています。
太陽がアンタレスのような短命の星であった場合、多くの生命はこの世に誕生することはなかったといえます。
空に見える星のほとんどは、巨大なガスのかたまりで水素爆弾と同じような仕組みでできるエネルギーによって熱や光を発しています。星が赤く見えるのは表面の温度が2000~3500度程度で、温度が上昇するにつれてオレンジ色や黄色、白色、青白色というように変化していきます。
地球のように恒星の周りを回っている惑星は、恒星の光を反射して光って見えているだけですから、自らが光を発しているわけではありません。
地球が宇宙から見ると青く見えるのは、表面の温度が高いからではなく、地球のまわりの空気や海の水などが太陽の光の中の青色の光を多く散らすためです。
アンタレスの観測方法
アンタレスを観測するには、夏の夜空で見つけるのがもっとも簡単で、晴れた夏の夜に南の空を見上げ、地平線近くに曲線状に並んだ星の中に見つけることができます。
アンタレスは蠍座の曲線の元をたどっていくと、さそりの胴体部分に発見することができます。
ほかの星と比べるとひときわ明るい赤い色をしていますから、発見しやすいのが特徴です。
夏の星座としても有名な蠍座ですが、アジアではS字型に並んでいる形状から釣り針を連想する人も多く、日本でも鯛釣り星や魚釣り星などとも呼ばれていました。
蠍座は、ギリシア神話に登場するオリオンを刺したサソリがモデルで、傲慢ナオリオンを懲らしめるため神々がさまざまなものの中からサソリを選び、サソリの毒でオリオンが亡くなったとされています。
この手柄からサソリは星座になりましたが、同じく星座になったオリオンはサソリを避けるように蠍座が見えない冬の間にだけ姿を輝かせているといわれています。
星座占いでは、蠍座の人は警戒心が強く独自の考えを持っている性格だといわれていますが、神話に登場するサソリも元々は誰にも使えていたわけではなく、頼まれて能力を発揮しましたから、そんな孤独感と隠れた才能が影響を与えているのかもしれません。
まとめ
・アンタレスは蠍座の巨大な夏を代表する一等星
・星が赤く見えるのは表面の温度が上昇するにつれてオレンジ色や黄色、白色、青白色というように変化していく
・アンタレスは蠍座の曲線の元をたどっていくと、さそりの胴体部分に発見することができる